Quantcast
Channel: 屋根裏部屋のグダグダ文化論
Viewing all articles
Browse latest Browse all 423

LIVE REPORT:エレファントカシマシ(大阪フェスティバルホール1日目)

$
0
0
それでは書きますが、今日行かれる方やWOWOW放送を見るという方で内容を知りたくない方は読まないで下さい。

そもそも今回ライブに行くのを決心するまでに、私が昨秋から彼らにドはまりしていることについて書かねばなるまい。
元々、TVドラマの主題歌に使われた「今宵の月のように」でその存在は知っていたのだが、当時は地味に感じられたこともあってかそれほどはまりもせず、シングル1枚買っただけでアルバムにまで手が伸びずに長い年月を過ごした。が、ある日たまたま見ていた「ミュージックフェア」でセカオワのフニャフニャした歌の後に出た彼らの歌と演奏はとても力強く、私のハートを鷲掴みにした。それから動画をあさり、いかに素晴らしい楽曲を多く残していたかを今更ながらに知り、ちまちまとアルバムをつまみ食い的に買っていった間にどんどんはまり、ついにはほとんどのアルバムを揃えてしまうまでに至った…という具合である。そう、もう廃盤で手に入らないと思っていたものも運良く手に入れることが出来たりで、ついには3作目の「浮世の夢」を残すのみとなったのだ。あれだけはもう新品が軒並み全滅で、中古品もアホみたいに高い値が付いているので、今回の物販に賭けてみるか?ということになった。結局置いてなかったんだけどね。
同時にライブDVDにも手を出し、派手な演出全くなしに音楽だけで勝負、それで惹きつけられてしまうのだから凄い!と感じ、これは一度生で見ておかねばなるまい、となってたまたま新春ライブの先行予約がまるで私を待っていたかのように始まっていたので申し込み、運良く当選した…というのがここにいたるまでの経緯である。

実は私が大学生だったバブル真っ只中にデビューし、それから20枚以上のアルバムを残している彼らになぜ今はまったか?それはやはり、セカオワやゲスの極みみたいな話題先行で音楽に魅力の感じられないものが人気を得ている現状で、そういった連中とは全く逆に何の飾りもなく武骨とさえ言えるロック本来の姿に魅了されたからに他ならない。無数のハード・ロック/ヘヴィ・メタルやプログレのCDを所有し、ライブにもたびたび足を運んでいるのに満足しきれなかった?いやそうではなく、一般のJ-POPと呼ばれる範疇で現存しているバンドでこれほどの衝撃を受けたのが久しぶりだったからだ。昔はYMOやRCサクセション、BOOWYといった素晴らしいバンドがあったがいずれも現存せず、甲斐バンドは新しいものをほとんど創作せずに過去の遺産を食いつぶしながら解散と再結成を繰り返し、サザンはもう長いことバンドとして機能しておらず、長いこと休んでたまに出てきてアルバムを出してツアーやってまた休み、という具合。そんな中で四半世紀以上も一度のメンバーチェンジもなしにほぼノンストップで活動を続けている姿がとてつもなく素晴らしいものに思えたのだ。中心人物であるヴォーカルのミヤジこと宮本浩次の耳の不調で少しの活動休止はあったが、そのために初めて3年半というブランクを置いた後に発表されたアルバム「RAINBOW」がまた素晴らしく、ライブへの期待も大いに高まったのだ。

そして待ちに待った昨日、ライブ当日を迎えた。大阪フェスティバルホール…過去に何度も著名アーティストのライブで行く機会があり、改築が済んでからは井上陽水と山下達郎にしか行ってないが、音響の良さ等で演者たちからも高い評価を得ている場所。会場へ到着すると高ぶっていた気持ちは更に高ぶることに。

イメージ 1


イメージ 2

そしてほどなく開場となり、場内への入場が開始されるが、意外に思ったのは女性客の姿の多かったことだ。ポップに徹したミスチルやスピッツ、華やかなGLAYやラルクみたいに女性受けする要素も少ないし、特にイケメンなメンバーもおらずファッショナブルでもない彼らはきっと男性のファンばかりだろうと思っていたらとんでもない、男女比は見た感じ半々くらい、しかも若者からご年配の方まで実に幅広い年齢層の人たちが集まっていたのだ。確かにポップで親しみやすい曲や心にしみる美しいメロディを持った曲も多いがそれも半分くらいで、あと半分は激しかったりぶっ飛んでいたりで、この人たちはそういう二面性をわかっているんだろうか?でも、先述のバンドたちみたいにドームを埋めるほどではないにしても、これだけ「本物」を支持している人がいるんだと思えば何だか嬉しくなってきた。

やがて開演前の諸注意のアナウンスが流れ、場内で流れていた音楽がオルガン曲に変わり、それが「チゴイネルワイゼン」に…と思ったらCD演奏ではなく人間の弦楽器隊による生演奏だとわかった時、場内のボルテージは一気に上がった。ほぼ女性ばかりの弦楽器隊は近年彼らがやってる大規模なライブではレギュラー的に帯同しているからだ。私は3階の最後列というちょっと辛い場所だったが、1階席を見下ろせば総立ちの状態。やがてバンドのメンバーが現れ、ついに開演となった!

まずは「脱コミュニケーション」「今はここが真ん中さ!」という景気のいい2連発。ミヤジの「えぶりばでー!」という叫びでまた盛り上がる。2曲が済んで短いMCの後、早々と「悲しみの果て」が。これもかなりヒットした曲だけに場内の反応も上々。続いて「バラードを1曲やります」の言葉の後に出てきたのは「デーデ」…どこがバラードやねん、というツッコミを入れたくなったが、初期からの定番曲だけにこれも盛り上がった。
「彼女は買い物の帰り道」「あなたへ」「TEKUMAKUMAYAKON」「なからん」「昨日よ」「シナリオどおり」という新旧・緩急織り交ぜたバラエティに富んだ楽曲が次々披露され、「永遠の旅人」ではここまでで初めてと思われる照明が派手に点滅する演出が。しかし最終的にはこれが今回で一番凝った演出だったのだからどれだけシンプルなステージングなのかという話。
ここで一旦メンバー紹介。サポートのギターとキーボードも含めて手短に次々紹介、最後に「総合司会の宮本です」。それに続いたのは「愛すべき今日」…最新アルバムに先駆けてシングルとして発表された曲だが、やはり素晴らしい。続いて「古い曲をやります」の言葉の後に出てきたのは「曙光」…初期に目立ったサイケデリックな曲で、ポップな曲しか知らない人や新しいファンには驚きだったかもしれない。
「Under the sky」「雨の日も風の日も」の後は最新作冒頭を飾った「3210」「RAINBOW」の2連発。大いに盛り上がり、ここで一旦メンバーは引っ込んだ。

私はこれが「第1部」とわかっていたのでここでトイレに直行したのだが、本編が終わったと思った人が多かったのかアンコールの手拍子が場内に鳴り渡る。ほどなくメンバーが再登場、ミヤジが「第2部始めます」とアナウンス。実は第1部では弦楽器隊がずっと演奏しており、たまにそちらのリーダーでバイオリンの金原千恵子とチェロの笠原あやのの2人が前に出て彩りを添える場面があったが、ここからはほぼバンドとサポート2人の6人による演奏に。「I am happy」「so many people」「ディンドン」「めんどくせい」と続き、ミヤジがアコギを持ち出しての「偶成」へ。懐かしく穏やかな曲に場内は聴き入っていたが、それが済んだ後にスタッフに渡そうとしたとこに誰もおらず、盛大に落とすというハプニングも。ここで金原・笠原両名が再び前に出てきての「リッスントゥザミュージック」、それから「Destiny」と続いた後、「桜の花、舞い上がる道を」。大好きな曲だけにこれが聴けたのは収穫だったな。
「笑顔の未来へ」「新しい季節へキミと」「ズレてる方がいい」と更に盛り上がっていく中、ついに出ました「ガストロンジャー」!歌のメロディがほぼ存在せずにひたすら言葉を乱射する曲だが、近年は終盤のハイライトだけに盛り上がりも最高潮。ここまでほとんど座っていた私も立ち上がった。そして本編最後は「ファイティングマン」。1stアルバムのオープニングを飾った曲だが、いまだにライブではお馴染みの定番曲のようで、先程からの盛り上がりもそのまま引き継がれて第2部は終わった。再び引っ込む前にミヤジが「第3部もあるよ」…それはアンコールの強制ですかい?

そして第3部…普通はアンコールと呼ばれるものだが、まずはこれもCMでお馴染みになってた「俺たちの明日」。ベタと言えばベタだがやはり盛り上がる。続く「四月の風」「風に吹かれて」の後は「ゴクロウサン」「花男」をぶちかまし、本当にライブ全てが終わった。

…25周年のさいたまスーパーアリーナのDVDでは4時間やってたから「まさか今回もそんなにやるの?」と思ってたら3時間15分くらいだったからまあ、長いけど今まで経験した長丁場に比べたら許容範囲だ。しかしまあ、長丁場にも関わらず、しかも聴き始めて日の浅い私にとっては知らない曲の方が多いという状況なのに最後まで飽きずに聴けたのは楽曲自体の魅力と熱いハート、これに尽きるだろう。あ、曲名全部書けたのは昨夜の内にセットリスト上げた人がいたので参考にさせてもらっただけなんで。

率直に言えば、決して上手いバンドではない。ギターの速弾きが凄いとかドラムがやたらパワフルとかベースがブリブリうねると言うでもなく、むしろ粗さが目立って、私が西九条や心斎橋周辺で馴染みの皆さんの方がよっぽど上手いくらいだ。でも、粗くても雑ではない。長いことメンバーチェンジもなく一緒にやってるからこその一体感が強く感じられた。ミヤジの歌も声の良さとか声量の豊かさは魅力だが、序盤は高音が出てなかったり裏声が不安定だったり声がひっくり返ったりで、中盤以降は調子良くなってきたものの、やはり完璧を求める人には辛いだろう。だがそれを補って余りあるのがステージから伝わってくる熱気と一体感だ。それがあるからこそ、最後まで演出らしい演出もなしに聴かせられるのだろう。今時の演出第一で歌も演奏もおろそかな連中に同じことが出来るか?そんな腐った今の音楽シーンに一矢報いてほしい、それを期待してしまうのだった。

おまけ

イメージ 3

終演後に写したパネル。ほんま味も素っ気もないけど、音楽そのものに強い力があるから彼らはこれでいいんです。

イメージ 4

そしてパンフ…なんだけど、3500円もした割に中身はただの写真集。何だか騙された気分…水樹奈々みたいに可愛い女の子(って年でもないか)だったらそれでいいけど、自分と同い年のおっさんたちの写真が並んだものを手にしてもあまり嬉しくない。でもまあ、最高のライブの記念にはいいか。
そう、初めてのエレカシだったけど本当に内容は最高だった。これからも熱い「本物のロック」をやり続けてくれることを強く願う!

Viewing all articles
Browse latest Browse all 423