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Channel: 屋根裏部屋のグダグダ文化論
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父の日の前日の見舞い

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 今日は父の日、でもうちの親父はまたまた入院してるので、昨日田舎の病院に見舞いに行ってきた。
 田舎と言っても、前の病院より更に山奥になった場所、でも私の方からは少し近くになったんだけど…お袋は実家から毎日通うのも大変だから、通いの日と泊まりの日を織り交ぜながら病院に行っております。ほんまに頭が下がります。

 親父、抗癌剤の影響で髪の毛も抜け、食べ物もまともに食べてないから痩せ細って、ちょっと前にはかなり弱ってしまって本当に大変だったんだけど、今は少し起き上ってみたり言葉も発してみてるから、ちょっとは元気になってくれてるみたい。でも、あんな親父の姿を見るのは辛いよ、やっぱり…

 でねえ、先週の日曜には親父のために法隆寺に願掛けに行ってきたんです。
 なぜ法隆寺?いつもの大安寺じゃなくって?
 思い起こせば小4の時、奈良と京都の寺を観たいと両親に無理を言って夏休みに連れて行ってもらい、その時に特に観たかったのが法隆寺の百済観音だったわけで…当時の大宝蔵殿の中の安置場所にたどり着いた時、私は感動のあまり固まってしまって、時の経つのも忘れて見入っていた。おかげで夢殿まで観る時間が無くなってしまったんだけど…

 それから法隆寺は何度も行ってるし、その間に百済観音は新装された大宝蔵院に移され、以前の大宝蔵殿は春と秋の期間限定での秘宝展のみの公開となったわけだけど、やはり私が人生で初めて大きな感動を味わうことになった百済観音は特別な存在だし、その機会を与えてくれた両親には(いつも喧嘩ばかりしてるけど)本当に感謝してる。

 だから…御利益を求めてと言うより優れた美術品として鑑賞されることの多い百済観音だけど、私が人生で初めての深い感動を味わうことになった観音様だし、そのためにわざわざ田舎から車で連れてきてくれた親父に奇跡を起こして下さいとお願いしてきた。
 そして以前この観音様が安置されていた旧・大宝蔵殿の同じ場所には違う観音像がいらっしゃるけど、そこはやはり私にとって、家族で来た大事な思い出の場所。しばらくそこで思い出をかみしめていた。弟は当時小1だったし仏像の良さなんかわからないから「早く出ようや~」言ってたけど、感動してる私の姿を見た両親は「連れてきて良かったな」と思ってたそうだ。

 で、法隆寺という寺、実はお守りがあまり充実してなくて…お札を買って帰ってきた。本来、お守りとお札は意義が違うそうだけど、そこは気持ちの問題ということで。そして百済観音や玉虫厨子といった国宝の絵葉書も買った。今でもあの思い出は私の大事な宝なんだよと、親父にわかってもらおうと…

 そして昨日は病院に行ったんだけど、弟とその子供たちも来てた。中3の姪っ子は大きくなったけど、小6の甥っ子は相変わらずチビで相変わらずのやんちゃ坊主だった(笑)。そして親父にお札と絵葉書も渡してきた。と言うか親父本人は寝起きみたいな状態だったので、お袋に託したようなものだけど、私の精一杯の願いが伝われば、それが今年の父の日の思い出になればいいなって。そして来年もまた父の日を迎えられたら、それも親父がもっと元気になってくれたならいいなって。

 私は常々、両親が与えてくれたあの感動と同じくらいの「感動のプレゼント」が出来ればと思ってる。だから、それが出来るように親父にはまだまだ生きていてほしい。お袋にも元気でいてほしい。
 そんなわけで、1日早く任務は済ませてきたけど、本来の父の日は今日。だから、今日もう1日、感謝の気持ちを持って過ごしたいと思います。

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